女性俳句

──戦後俳句の出発、新しい時代へ
俳句は何をいかに詠むか。戦後文学の風潮の中で新たな素材と方法を模索する

〔掲載俳人(大正9年から昭和2年生まれ)〕
野澤節子、津田清子、佐野美智、小池文子、
籏 こと、飯島晴子、井沢正江、寺田京子、
河野多希女、熊谷愛子、鷲谷七菜子、神尾久美子、
菖蒲あや、古賀まり子、大橋敦子、八木三日女、
野見山ひふみ、金子皆子、伊丹公子、加藤三七子、
橋本美代子、山田みづえ、三好潤子、長谷川秋子、
澁谷 道、津沢マサ子、中山純子

ISBN:978-4-04-621164-4

句集『未明音』より。季語は「冬の日」で冬。
節子は脊椎(せきつい)カリエスのため、13歳から25年間の闘病生活を余儀なくされた。琴を習い始めたのは10歳のとき。掲句は29歳の作。端正な抒情が持ち味だった。強い精神力で病を克服し、いのちの絶唱を多く遺した。
〈春昼の指とどまれば琴も止む〉
〈牡丹雪しばらく息をつがぬまま〉。

句集『礼拝』より。季語は「焚火」で冬。
女教師時代の作。「刹那刹那に生く」に清子の実存的世界観が投影されている。何ごとにも真っ正面に突き進む清子の性格は、70歳を過ぎてアフリカのナミブ砂漠へ出かけて句作する姿勢にも窺える。
〈千里飛び来て白鳥の争へる〉
〈無方無時無距離砂漠の夜が明けて〉。

句集『朱田(しゅでん)』より。季語は「梨」で秋。
晴子は京都府立第一高女卒。女優の森光子と同級だった。38歳のとき、たまたま夫の代りに出席した句会で俳句に開眼、以来、反写実的詠風を自らに課して、論作とも、前人未踏の句境を拓いた。掲句は世界地図からの発想。
〈かの后(きさき)鏡攻(かがみぜめ)にてみまかれり〉
〈寒晴(かんばれ)やあはれ舞妓(まひこ)の背の高き〉。

『長谷川秋子全句集』より。季語は「鴛鴦」で冬。
秋子は、女性俳句の先駆者長谷川かな女に師事、長谷川家の嫁として、妻として、母として、かな女に尽くした。掲句は昭和60年2月、58歳で急逝する10日前の作。美貌ゆえの愛憎渦まく波瀾の生涯の最期を自ら予言したような諦念と安心立命の境地。
〈石榴(ざくろ)吸ふいかに愛されても独り〉
〈一命に長短はなし蛍の夜〉。

女性俳句

●近世から現代まで、多様多彩な女性俳句を体系的にまとめた初めてのシリーズです
●鑑賞もまた創作、新たな「読み」に挑戦します
●全六巻150余名の女性俳句を第一線の俳人・歌人が斬新な視点で鑑賞します
●俳句鑑賞は句作上達の近道、作句も骨法を会得できます
●収録俳人の代表句100句を掲載。秀句選集を兼ねます
●「女性俳句年表」を付すなど、女性俳句史の研究に役立ちます
●月報には代表的な俳人・歌人・詩人等が、女性俳句の魅力について寄稿します

本書挿入の愛読者葉書にて未発表作品1句を記載し、ご投句ください。入選者は『俳句』に掲載し、記念品として掲載誌および角川学芸出版特製「俳句手帖」(非売品)を贈呈いたします。またアンケートにご回答いただいた方の中から抽選で1000名様に「俳句手帖」を差し上げます。

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