女性俳句

──生活俳句の広がり
戦争と平和、恋と病と貧困と。
大きな歴史の転換期を女性の眼で十七字に刻む。


〔掲載俳人(明治40年から大正8年生まれ)〕
細見綾子、岡本差知子、殿村菟絲子、高野冨士子、
石橋秀野、池上不二子、田畑美穂女、加藤知世子、
栗林千津、清水径子、藤木清子、下村梅子、
中村苑子、文挾夫佐恵、中尾寿美子、桂 信子、
高木晴子、横山房子、石田あき子、北原志満子、
森田愛子、小坂順子、馬場移公子、鈴木しづ子、
上野章子

ISBN:978-4-04-621163-7

句集『桃は八重』より。
季語は「桃の花」で春。
俳句は普段着の文芸である、
と宣言したような歯切れのよい一句。
綾子は生涯この「普段着の文芸」を作句信条として、
女性の喜怒哀楽を率直に詠った。
〈鶏頭を三尺離れもの思ふ〉
〈冬来れば母の手織りの紺深し〉。

句文集『櫻濃く』より。
季語は「松の緑」で春。
秀野は評論家山本健吉と学生結婚。
戦後の貧困のなか、
あり余る才能を生かしきることなく、
結核のため38歳で死去。
〈西日照りいのち無惨にありにけり〉
〈病み呆(ほ)けて泣けば卯の花腐しかな〉。

句集『女身』より。
季語は「梅雨」で夏。
信子は結婚二年足らずで、夫と死別。
女身の哀歓を大胆に詠って褒貶をあびたが、
独自の句風を築き、九十歳の長寿を全うした。
〈死ぬことの怖くて吹きぬ春の笛〉
〈青空や花は咲くことのみ思ひ〉。

句集『虹帖』より。
季語は「虹」で夏。
愛子は越前三国の豪商と芸妓の娘として生まれた。
療養中に俳句を知り、高浜虚子に師事。
この句は29歳で亡くなった愛子が
死の三日前に電報で虚子に送ったもの。
愛子を詠んだ虚子の有名な二句をふまえている。
〈虹立ちて忽ち君のある如し〉
〈虹消えて忽ち君の無き如し〉。

女性俳句

●近世から現代まで、多様多彩な女性俳句を体系的にまとめた初めてのシリーズです
●鑑賞もまた創作、新たな「読み」に挑戦します
●全六巻150余名の女性俳句を第一線の俳人・歌人が斬新な視点で鑑賞します
●俳句鑑賞は句作上達の近道、作句も骨法を会得できます
●収録俳人の代表句100句を掲載。秀句選集を兼ねます
●「女性俳句年表」を付すなど、女性俳句史の研究に役立ちます
●月報には代表的な俳人・歌人・詩人等が、女性俳句の魅力について寄稿します

本書挿入の愛読者葉書にて未発表作品1句を記載し、ご投句ください。入選者は『俳句』に掲載し、記念品として掲載誌および角川学芸出版特製「俳句手帖」(非売品)を贈呈いたします。またアンケートにご回答いただいた方の中から抽選で1000名様に「俳句手帖」を差し上げます。

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