
──四Tの活躍と個性的俳人たち
汀女、立子、多佳子、鷹女という4Tに代表される個性的な俳人の多彩な世界。
〔掲載俳人(明治23年から40年生まれ)〕
沢田はぎ女、高橋淡路女、中塚たづ子、
ミュラー初子、田畑三千女、吉屋信子、原コウ子、
今井つる女、橋本多佳子、及川貞、三橋鷹女、
飯島みさ子、杉原竹女、中村汀女、渡辺桂子、
武原はん女、星野立子、村山たか女、竹田小時、
徳永夏川女、稲垣きくの、柴田白葉女、
山口波津女、鈴木真砂女、下田実花
句集『紅絲』より。季語は「夏の怒濤」で夏。乳母車の中には赤ん坊がいる。夏の荒波が押しよせ、一瞬、さらわれそうな恐怖に襲われる。抵抗するすべてを知らぬ幼子と大海原との対比は映画のモンタージュ手法を思わせ、その斬新な構図が注目を集めた。「よこむきに」という即物的把握に千金の重みがある。
〈夫(つま)恋へば吾に死ねよと青葉木菟〉
〈いなびかり北よりすれば北を見る〉。
句集『向日葵』より。季語は「夏痩」で夏。
四Tと称される四人の女性俳人のなかで最も好悪の激しかった鷹女。女性の瞬時の感情を赤裸々に直叙し、新境地へ果敢に挑戦した。
「一句を書くことは、一片の鱗の剥脱である」とは第四句集『羊歯地獄』自序の一節。
〈白露や死んでゆく日も帯締めて〉
〈鞦韆(しうせん)は漕ぐべし愛は奪ふべし〉。
句集『汀女句集』より。季語は「夜寒」で秋。作者36歳の作。長女は高等女学校入学、長男と次男は小学生だった。助詞「の」のくり返しが柔軟なリズムを生み、一読、心に残る愛誦性を獲得した。男性俳人とは別趣の「吾子俳句」は教科書にもとりあげられ、多くの人々に親しまれた。
〈中空にとまらんとする落花かな〉
〈外(と)にも出よ触るるばかりに春の月〉。
句集『立子句集』より。季語は「冬日」で冬。
作者27歳の作。鎌倉の露座の大仏と冬日を詠んだ代表作。短日(たんじつ)の愛惜の情が余韻をひく。立子は俳壇の大御所高浜虚子の次女。虚子の愛情を一身にうけて、天衣無縫の世界をひらき、虚子もまた立子から多くのことを教えられた。虚子の『立子へ』にはその間の機微が存分に語られている。
〈いつの間にがらりと涼しチョコレート〉
〈雛飾りつゝふと命惜しきかな〉。

●近世から現代まで、多様多彩な女性俳句を体系的にまとめた初めてのシリーズです
●鑑賞もまた創作、新たな「読み」に挑戦します
●全六巻150余名の女性俳句を第一線の俳人・歌人が斬新な視点で鑑賞します
●俳句鑑賞は句作上達の近道、作句も骨法を会得できます
●収録俳人の代表句100句を掲載。秀句選集を兼ねます
●「女性俳句年表」を付すなど、女性俳句史の研究に役立ちます
●月報には代表的な俳人・歌人・詩人等が、女性俳句の魅力について寄稿します
本書挿入の愛読者葉書にて未発表作品1句を記載し、ご投句ください。入選者は『俳句』に掲載し、記念品として掲載誌および角川学芸出版特製「俳句手帖」(非売品)を贈呈いたします。またアンケートにご回答いただいた方の中から抽選で1000名様に「俳句手帖」を差し上げます。
